"It's enough for a man to understand his own business, and not to interfere with other people's. Mine occupies me constantly."

これはディケンズの自由放任主義(レッセ・フェール)に対する批判である。 自由放任主義 (laissez-faire)とは、自由競争が社会の最も合理的な発展をもたらす とする経済思想または主張。フランスの重農学派によって主張され始め、 (各個人が自由に自己の利益を追求しても、自然法的な「神の見えざる手」の力が働いて、 社会全体としては公共の利益と一致し、国富の増大となると主張した)アダム・スミス によって確立された。自然秩序を最高のものと考え、政府の干渉は有害無益であるとする。 封建的あるいは重商主義的制度を束縛と感じた産業資本家の要求を思想的に代弁したもの だが、すべてを市場にまかせた結果、貧富の差が拡大し、失業などの社会問題が次々と生じ てしまった。イギリスの資本主義を支えた自由放任主義思想は、環境の変化に適合した 者だけが生き残り、その性質を遺伝発展させていくとするダーウィンの進化論と、弱肉 強食という点で軌を一にしている。