電子メール活用法

松 岡 光 治


10 おわりに

英語に限らず、勉強は自分のためだけでなく、社会に役立つ人間になるためにするものです。社会や周囲の人の役に立っているという意識ほど幸せをもたらすものはありません。どんな人でも得意の分野があり、その方面では必ず何らかの貢献ができるはずです。とはいえ、社会奉仕という高邁な目標に向って努力するのは、非常に苦しいものです。英語に関しても、あるレベルに達するまでは、自分のために勉強するという意識しか持てないのが実情でしょう。いずれにせよ、苦しい勉強を継続させるには、最初に言いましたように、何らかのモーティベーションが必要です。外国人と流暢に話したい、留学したい、その他いろいろな英語学習の動機があるでしょう。それは、不況の昨今、就職に有利になるように、検定試験で高いスコアを取りたいといった現実的な動機でも、外国の奇麗な/ハンサムな人と結婚したいといった不純な動機でも、構わないと思います。とにかく、モーティベーションのない英語学習は身につきません。

今回の公開講座で最後に訴えたいのは、学生として英語を学習する場合であれ、先生として英語を教える場合であれ、大学合格という強力なモーティベーションに代わるものを見出す必要があるということです。実際、少子化によって大学合格の価値が薄れ、また入学と卒業の基準の変化によって、英語学習/教育のあり方自体が大きく様変わりすると思われます。そのような中、インターネットを通して簡単に海外の人とコミュニケーションできるようになったことは、従来の英語学習/教育を変える大きな転機になることでしょう。特に、電子メールは自分で書くという能動的な側面が強く、受動的なネット・サーフィンでは得られない興奮が伴います。自分の考えを、あるいは新しい考えを、相手に知ってもらうことは、コミュニケーションの基本です。その意味で、メーリング・リストへの「まじめな」投稿は、メンバーが多ければ多いほど反応も多く、それに応じて大きな興奮を得ることができます。時には大きな後悔や大きな失望を味わうかもしれませんが、それもまた異文化コミュニケーションの大きな経験となり、自分の将来にきっと役立つはずです。

しかしながら、英語の電子メールによる情報発信は受信者が限定されます。従って、電子メールで海外へ情報発信することに少し慣れた段階で、今度は不特定多数のアクセスを狙って、ホームページを開設する/させることには、大きな意義があります。たとえ拙い英語であっても、「まじめな」ページであれば、そこに異文化の人は何かを発見してくれるものです。私自身、多くのサイトを作成しましたが、自分では二足三文のページだと思っていても、時として予期せぬところに着眼して、電子メールをくれる人がいます。人それぞれ視点が違うのは当たりまえですが、異文化であればそれだけ視点が違う可能性が高いのです。異文化コミュニケーションの最大の恩恵は、そうした視点の違いを実感させてくれることではないでしょうか?こういったことを容易にしてくれるようになったのがインターネットなのです。  



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