*申し訳ありませんが、この本は出版社でもアマゾンでも品切・絶版になりました(2013年5月15日)。
*以下、「目次」では PDFファイル で公開しています(平成25年11月1日公開)。
西暦2012年は英国人にとって記念すべき年である。それはエリザベス二世の女王即位60周年祭に続き、ロンドンで第30回夏季オリンピックが開催されたからだけではない。国民的人気を博したヴィクトリア朝の作家――1812年2月7日(金)に生まれたチャールズ・ディケンズ――の生誕二百年にもあたるからである。実際、今年はイギリス国内のみならず国外でも多種多様な記念事業が企画され、数多くのイベントが実施されている。そうした記念事業の一環として企画された本書は、ディケンズ・フェロウシップ日本支部の会員15名が、彼の15の長篇小説をそれぞれ担当し、〈暴力〉に焦点を絞って書いた論文のアンソロジーである。 |
目 次
まえがきに代えて――暴力と想像力
序 章 「抑圧された暴力のゆくえ」 (松岡光治、名古屋大学)
第1章 『ピクウィック・クラブ』 (中和彩子、法政大学) |
第9章 『荒涼館』 (中村 隆、山形大学) 「国家・警察・刑事・暴力装置」 第1節 国家という暴力装置 第2節 無名の警官の暴力 第3節 警察という暴力装置 第4節 バケットの暴力 第10章 『ハード・タイムズ』 (玉井史絵、同志社大学) 「教育の(暴)力」 第1節 教育と暴力 第2節 学校教育と徒弟教育 第3節 「合理的な学校」 第4節 〈娯楽〉という教育 第11章 『リトル・ドリット』 (武井暁子、中京大学) 「内向する暴力――病的自傷者はなぜ生まれるのか」 第1節 病的自傷の定義 第2節 自傷の要因 第3節 ヤマアラシのジレンマ 第4節 排除/矯正される自傷者 第12章 『二都物語』 (矢次 綾、松山大学) 「孤独な群衆の暴力性」 第1節 未曽有の大事件を記述する 第2節 ディケンズによるサンキュロティズムの研究 第3節 群衆が潜在的に保持する暴力性 第4節 群衆の孤独と暴力性 第13章 『大いなる遺産』 (鵜飼信光、九州大学) 「種子=ピップは牢を破って外で花を咲かせるか」 第1節 穏やかどころではない人々 第2節 「そんなにも多くの小さな引き出し」 第3節 取り壊されたサティス・ハウス 第4節 打つことの暴力と建設、逃げ続ける一人の囚人 第14章 『互いの友』 (宮丸裕二、中央大学) 「腕力と知力――欲望と階級」 第1節 階級と肉体の結びつき 第2節 暴力と知性に挟まれる中産階級 第3節 中産階級に残像として映る傷跡に充ちた世界 第4節 肉体性忌避の現代 第15章 『エドウィン・ドルードの謎』 (加藤 匠、明治大学) 「クロイスタラムに潜む闇の暴力」 第1節 過去の痕跡 第2節 「別種の恐ろしい奇跡」 第3節 直観と論理 第4節 クロイスタラムに落ちる帝国の影
|
書評
検索