Gissing in Cyberspace

ギッシングの世界

全体像の解明をめざして--没後100年記念

没後百年、よみがえる漂泊の魂

英宝社、xxvi+404頁、2003年12月、4,000円)

松岡光治編

この本は2016年4月に英宝社で品切・絶版となりましたので、
2016年5月3日にPDFファイルで一般公開させていただきます。
関心のある章を目次でクリックすれば、該当するPDFファイルが開きます。
印刷はできますが、コピー&ペイストはできません。

堕ちた女のために学者としての将来を棒にふった
偉才ギッシングが、鋭い観察眼でヴィクトリア朝末期を照射し、
ピレネー山麓の村で客死して百年。
国内外の研究者が独自の視点で作品を読み解き、
『ヘンリー・ライクロフトの私記』で知られるギッシングの全体像を
解き明かす。各作品の梗概を付し、研究に不可欠な
基礎知識と最新情報を満載した恰好の指南書。


目 次

まえがき

巻頭言

文献一覧

第1章 ギッシングの生涯(ジェイコブ・コールグ、ワシントン大学)

第2章 没後100年間におけるギッシング批評の進展(ピエール・クスティヤス、リール大学)

第3章 『無階級の人々』(倉持晴美、共立女子大学)
 作品の梗概
 不幸を見据える
 (1)時代の基調音を描く
 (2)女性の窮境と不幸な結婚
 (3)ゆらぐキリスト教信仰
 (4)スラムの実態
 (5)現実と夢の対照

第4章 『ネザー・ワールド』(倉持三郎、東京学芸大学)
 作品の梗概
 どん底に住む人々
 (1)『ネザー・ワールド』の背景
 (2)貧しい労働者の生活
 (3)労働者の個性の発見
 (4)運命のいたずら
 (5)一隅を照らす

第5章 『三文文士』(松岡光治、名古屋大学)
 作品の梗概
 貧乏作家はうだつが上がらない
 (1)芸術家の疎外
 (2)実利主義、理想主義、現実主義
 (3)下層中流階級と自己欺瞞
 (4)ギッシングの教育観
 (5)人間を堕落させる貧困

第6章 『流謫の地に生まれて』(金山亮太、新潟大学)
 作品の梗概
 汝再び故郷に帰れず--突然変異か形質遺伝か
 (1)分身を描くということ
 (2)ゴドウィンは突然変異種なのか
 (3)生まれ (nature) より育ち (nurture) は勝るのか
 (4)自己欺瞞の罪と罰
 (5)汝再び故郷に帰れず

第7章 『余計者の女たち』(武田美保子、京都女子大学)
 作品の梗概
 狂気の遊歩者--身体記号としてのモニカ
 (1)都市を彷徨する女遊歩者
 (2)優生学的「自然らしさ」の言説
 (3)医科学と記号的身体
 (4)ヒステリー症の身体を読む
 (5)ギッシングの内なる二重基準

第8章 『埋火』(小宮彩加、明治大学)
 作品の梗概
 "Carpe Diem!"--『埋火』の選択
 (1)『埋火』という作品について
 (2)過去か現在か
 (3)ギリシャからイギリスへ
 (4)オマーリアンのギッシング
 (5)唯一の現世謳歌主義作品

第9章 『渦』(太田良子、東洋英和女学院大学)
 作品の梗概
 ギッシングと姦通小説
 (1)独身か,結婚か
 (2)屋敷か,フラットか
 (3)働くべきか,働かざるべきか
 (4)家庭か,キャリアか
 (5)貞節か,姦通か

第10章 『イオニア海のほとり』(並木幸充、東京理科大学)
 作品の梗概
 ギッシングの「詩と真実」
 (1)『イオニア海のほとり』執筆の背景
 (2)ギッシングの「イタリア紀行」
 (3)静寂と喧騒をめぐって
 (4)『ヴェラニルダ』への序曲
 (5)「詩と真実」

第11章 『ヘンリー・ライクロフトの私記』(加藤憲明、作新学院大学)
 『ライクロフト』に見る新たなる自己
 (1)『ライクロフト』の位置付け
 (2)啓発と解放
 (3)自然と自己
 (4)メランコリー
 (5)共鳴者としての役割

第12章 その他の長篇・中篇小説(ジェイコブ・コールグ、ワシントン大学/光沢 隆 訳)
 (1)社会問題小説家としての出発
 (2)社会問題からの一時的な後退
 (3)再び社会問題へ
 (4)新たな試み--中産階級の分析と中篇小説への挑戦
 (5)死後に発表された小説

第13章 短篇小説(八幡雅彦、別府大学) 
 (1)ギッシングとシャン・F・ブロック
 (2)19世紀ロンドンの暗部を暴く
 (3)「理想」とは、流れ星のごときもの
 (4)敗北と欲求不満の中の「希望」
 (5)時代を越え,国を越え,普遍的人間を描く

第14章 ギッシングとディケンズ(小池 滋、東京女子大学)
 (1)個人的な回想
 (2)若気ゆえの反撥
 (3)『ディケンズ論』の内容紹介
 (4)『ディケンズ論』再評価の試み
 (5)最後のディケンズ評論

第15章 ギッシング関連情報(松岡光治、名古屋大学)
 (1)学術雑誌と国際会議
 (2)ギッシング・トラストとギッシング・センター
 (3)テキスト、書簡、古書、映画
 (4)インターネット上のギッシング
 (5)日本におけるギッシング

年譜

あとがき

索引

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